ロンドン白人妻の「双極性障害」 -【形成】編-

こんにちは Ronin です。

環境の変化と言うのは、人の精神状態に大きな影響を与えることがあります。

現在僕はロンドンにてヨーロッパ出身の妻と暮らしていますが、妻がロンドンに移住して来てから、双極性障害 (別名: 躁うつ病) という精神障害を持つようになってしまいました。

今回は、どのように妻の双極性障害が形成されてしまったのかについて、お話ししたいと思います。




双極性障害 (躁うつ病) とは

躁うつ病という名でも知られる双極性障害は、気分、気力、活動レベル、また日々の作業をこなしていく力が、異常に変動してしまうという脳の障害です。

双極性障害は、「躁状態」と呼ばれる活発な状態から、悲しくなったり気分が落ち込むという「うつ状態」への気分の変化を繰り返します。

そして、双極性障害は大きく分けて二つに分類されます。

[双極性障害Ⅰ型]

躁状態が少なくとも7日間継続すること、もしくは病院での早急な治療が必要とされる非常に深刻な躁状態が見られること、と定義される

通常、少なくとも2週間以上続くうつ状態も見られ、うつ状態と躁状態が同時に発生するという状態も起こりうる。

[双極性障害Ⅱ型]

うつ状態と軽躁状態のパターンによって定義されるが、Ⅰ型に見られるほどの深刻な症状では無い。

(参考: NIH “Bipolar disorder” )

世界全体でみると、双極性障害はおよそ100人に1人の割合で発症していると言われていますが、日本では、500人に1人と、比較的少ないという調査結果があります。

しかしながら、日本における双極性障害へのこうした研究が少なく、明確なことは解明されて無い部分が多いようです。

 

東欧の小都市から大都会「ロンドン」へ

東ヨーロッパのある国の、小さな都市に生まれた僕の妻は、10代後半の頃にヨーロッパの各地を旅し、やがてロンドンを訪れました。

歴史的建造物の美しさ、アクティビティの多さ、人々のマナーの良さ…

初めて訪れた大都会ロンドンは妻にとって非常に魅力的に映り、妻はロンドンへの移住を決意しました。

ロンドンに住むイギリス人だけでは無く、世界中から人々が移住するロンドンで、様々な新しい体験をし、現地の雰囲気、考え方に次第に調和していきました。

多くの人が憧れる洗練された大都市ロンドンでの華やかで充実した暮らし。

そこには小さな都市から、ロンドンへ出て来た少女の姿はもうありませんでした。

ある日、ロンドンでできた友達との派手なパーティーから帰り自宅で一人になった時のこと。

どこからともなく大粒の涙が流れ始めました。

ですが涙の理由が全く分かりません。

(自分は誰もが羨むような充実した暮らしをロンドンという憧れの街で送っている。現に今日もパーティーを楽しんできたじゃない…)

そして、これが妻の双極性障害の最初の前兆でした。




常にアクティブでいるロンドン社会

以前の記事: なぜ【虚しい】のか… イギリス社会から感じる「虚無感」の理由 でもお話ししましたが、ロンドンでは常にアクティブでいる人たちが非常に多いです。

友人や恋人との食事、スポーツ、デート、ジムなど、仕事以外の時間も、常に何かの予定で忙しくする人たちが多いです。

週末や休暇などには、何かのイベントに行ったり、旅行に行ったりなど活発にアクティビティを行い、それらの話題を友人や、会社の同僚などとシェアし合います。

そのため、例えば週明けの月曜日には、「週末何したの?どこに行ったの?」という会話がされ、そこで「特に何もせずゆっくり休んでいた」などと言うと、「(つまらない休日の過ごし方…)」と言う印象を持つ人たちも少なくありません。

こう言ったことから、本来は常にアクティブでは無いという人も、ロンドン社会の傾向に合わせるという意味で、段々と表面上、常に活発でアクティブであるように変化していく…ということが起きてしまうようです。

そしてこれは、ロンドンへと移って来た妻にとっても例外ではなかったようです。

 

押し殺された感情はどこへ…

常にアクティブで活発であることが普通である社会…

逆に言うと、そうでなければ歪であると見なされてしまうということです。

そして、そのようなロンドン社会では、悲しさ、寂しさなどと言った、一般的に言われる負の感情を他人の前で表したり、それを他者とシェアするということはあまり見られません。

例えば、男性の友達同士の会話で、どちらかが彼女にフラれてしまった…という場合。

日本でそのようなシチュエーションの場合、フラれてしまった友人に対して、「俺もフラれたことがあるから辛さが分かるよ」「辛いよな。時間が癒してくれるよ。」などといった言葉をかけるなどをして、共感を示して慰めようとすることが良くあると思います。

もちろん個人差があるのですが、ロンドンでこのようなシチュエーションとなった場合、「フラれて辛かったな!さ、飲んで忘れようぜ!」「忘れるためにパーティーやろうぜ!」などというように、とにかく正の感情を持って「悲しい」という負の感情にふたをしてしまおうとします。

それにより、フラれたことによって生じた負の感情は一時的に拭い去られ、元気を取り戻すことも考えられます。

ですが、押し殺され行き場を失ったそれらの感情は、消化されない滞留物として、心の中に蓄積されていきます




妻に現れた躁うつの症状

東ヨーロッパの小さな都市から10代の時にロンドンへ出て来た妻は、その大都会の新しい土地で生きていくため、そしてその生活に馴染むため、常に活発でアクティブな自分へとなろうとし、そう振る舞いました

また、悲しい、寂しい…といった負の感情一切を否定し、ロンドン社会のスタイルへと自分を融合させていきました。

友達、もしくは恋人の前であっても負の感情を一切見せず、常に前向きで活発な自分の面だけを見せるようになっていきました。 (多くのロンドンに住む人たちがそうであるように)

そして、その日パーティーで楽しい時間を過ごしたつもりにも関わらず、自宅で一人になった瞬間に、今まで抑えてきた感情が溢れ始め、涙が出てきてしまったのです。

それからは、気分が悲しくなり落ち込むといううつ状態と、「自分は何でもできる」、といった気持ちで常に何かをしていないと気が済まない躁状態が定期的に襲ってくるようになりました。

躁うつ状態の詳細については、次の機会でお話しできればと思っています。

 

最後に: この人は何故泣いている?

妻は基本的に、双極性障害の症状があったことを周りに伝えることはありませんでした。

それは、4年以上付き合った以前の恋人へさえもです。

常に前向きな自分を見せ、周囲と同じように振る舞うために、負の感情を否定し、例え恋人であっても「これ以上は侵入できない」という心のバリアを張っていました。

そのため、悲しいことですが、深く人を愛したり、愛を感じたりすることができなかったようです。

妻と知り合ったばかりの頃、僕らは遠距離恋愛であったため、彼女が僕に会いに来てくれたことがありました。

やがて妻がロンドンへ戻らなければならなくなった時、僕は、次いつ会えるのかも分からず、また数ヶ月会えなくなってしまうということを考えると、悲しくなってきてしまって、彼女の前で思わず泣きだしてしまいました

こらえようとしたのですが難しく、大粒の涙が零れてしまいました。

それを見た妻は、「なぜこの人は泣いているの?」という気持ちになったそうです。

自分が否定してきたはずの負の感情をこんなにも表すなんて…そしてそれは悪いことではないのではないか…

と感じたそうです。

そして、妻は僕と付き合っていくうちに、負の感情を、自分の一部分として肯定できるようになったようです。

そのためもあってかはハッキリとは分かってはいないのですが、僕と付き合うことになってから、彼女が双極性障害の症状に襲われることは無くなりました

悲しくなったり、センチメンタルになる…という、感情的な性格である僕が、彼女の心のバリアを取り除いて、負の感情を肯定する手助けができているとしたら、それは僕の幸せでもあると感じています。

それではまた!




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2 件のコメント

  • 私も日本からアメリカに移住して発病しました、何もかもが変わってしまった。奥さんの状況よくわかります。旦那さんはどのような対応しているんですか。うちの旦那はドイツ人でまたこれも難しい。困難な状況です。共有していただければ助かります。

    • コメント頂きありがとうございます。
      アメリカという場所では言葉、文化、生活環境が日本とは全く異なる状況での生活の辛さが想像でき、そのような変化の中で発症してしまうことは、非常に辛いことであるとお察しします。
      ましては、ヨーロッパ人というやはり日本とは言葉も文化も違う外国人のパートナーへそれを伝え理解してもらうということも中々容易では無いと思います。
      私の妻の場合は、とにかくロンドンという大都会の世界に合わせるために、「自分を偽って生きたこと」が原因だったようです。繊細な自分、一人でいる時間が好きな自分、シャイな自分…。本当の自分を否定し、誰にも弱みを見せることなく、常に社交的な大都会に住む一人の女性を演じ続けた結果、そのリバウンドのように、双極性障害の症状が現れたようです。
      私は実際にはパートナーとして特に対応をした訳ではないのですが、自分の弱い感情、負の感情を隠さず露わにする私と過ごすうちに、自然と双極性障害の症状が現れなくなったようです。ある意味で、ありのままの自分を自分自身が受け入れられるようになったようです。
      残念ながら今は妻とは別々の道を歩むことになり、もしかしたらですが、また双極性障害の症状が再発してしまっているかもしれません。
      アドバイスになっておらず、申し訳ないのですが、パートナーの方、精神科医の方、現地のお友達、日本の家族などに正直に今直面されていることをシェアすることで、新しい環境の変化での辛い思いと現在の自分自身を受け入れることに繋がり、それが症状改善の一歩となるかもしれないと感じています。
      私のツイッターでも時より、精神障害のことなど呟くので、是非そちらもチェックして頂けますと嬉しいです。
      ツイッター: https://twitter.com/SamuraiinLondo1

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