こんにちは Ronin です。
現在僕はロンドンにて東欧出身の妻と暮らしていますが、妻はロンドンに来てから双極性障害 (別名: 躁うつ病) という精神障害を発症しました。
以前の記事では、どのように妻の双極性障害が形成されてしまったのかについて、お話ししました。
今回は、妻の双極性障害の症状についてお話ししたいと思います。
目次
双極性障害の症状

双極性障害 (別名: 躁うつ病) は、気分、気力、活動レベル、また日々の作業をこなしていく力が、異常に変動してしまうという脳の障害です。
双極性障害は、「躁状態」と呼ばれる活発な状態から、悲しくなったり気分が落ち込むという「うつ状態」への気分の変化を繰り返します。
以下は、双極性障害における「躁状態」と「うつ状態」の症状の例です。
- 判断力の衰え
- 興奮状態になる
- 注意散漫になったり、退屈を感じたりする
- 仕事や学校に行かなかったり、仕事において成果を出せない
- 「何でもできる」と感じる
- 全てが正しいと感じる
- (時に過剰なほど) 友好的になる
- 危険な行為をしようとする傾向がある
- 絶好調な気分だったり、陽気な気分になったり、幸福感に満ち溢れる
- 過剰な自信、過大な自尊心
- 過剰で速く、話題が次から次へ変わる会話をする
(参考: MedicalNewsToday “What should you know about bipolar disorder” )
- 落ち込んだり、暗い気持ちになったり、絶望感に襲われる
- 極度の悲しさを感じる
- 不眠症等の睡眠障害
- 些細な事柄に対しての不安
- 治療しても効果の見られないような痛みや身体的な問題
- 罪悪感を感じたり、起こる全ての悪い出来事が自分せいだという感覚を覚える
- 普段より多く食べたり、少なく食べるといった食事の習慣が変わる
- 体重の増減
- 極度の疲労感や気力の低下
- 物事を楽しめなくなったり、普段興味のあることに興味が湧かなくなる
- 注意力が低下し、物覚えが悪くなる
- 騒音、臭い、他者のマナーなど、普段は気に掛けなかったり我慢できる事柄に対して苛立ちを覚える
- 仕事や学校へ行くことが困難となる
(参考: MedicalNewsToday “What should you know about bipolar disorder” )
妻の躁状態の症状

前回の記事 (ロンドン白人妻の「双極性障害」 -【形成】編-) でもお話ししたのですが、妻の双極性障害は、彼女が10代の頃ロンドンに引っ越して来てから発症しました。
これには、大都会の見知らぬ土地で生きて行くために、弱さや感情を捨てなければならなかったことが原因となったのではないか…と妻は分析しています。
彼女に現れた躁状態の症状は以下のようなものです。
何でもできるという感覚
恐いものが無かったり、「自分は何でもできる」という感覚になることがあったようです。
特に根拠があるわけでは無いのにも関わらず、他者よりも自分は優れていて、能力がある人間であると強く感じることがあったようです。
疲れ知らず
過剰と言えるほど気力、体力が湧いてくることがあり、そのため、週に何度もクラブに通い夜通し遊んだり、たくさんのパーティへでかける、という生活スタイルを送っていたようです。
また、家の中を何往復も落ち着きなく歩いているということが多く、同居しているルームメイトなどから指摘されて初めてそれに気付く、ということも頻繁にあったようです。
極度に社交的になる
妻の本来の性格は、どちらかと言うと内向的で、自分から積極的に人間関係を構築するというタイプではありません。
しかしながら、躁状態が見られた時には、非常に積極的に他者と会話するようになり、内向的な部分が一切見られなくなるほどでした。
妻のうつ状態の症状

妻は定期的にうつ状態に襲われ、そしてそれは深刻なものでした。
極度の落ち込み
気分が極度に落ち込み暗い気持ちになり、人と会ったり話をしたり、もしくは外に出ることさえ苦痛になりました。
この状態に陥ると、外出することができなくなり、家に一人こもり (学校や仕事も行けない事が多かった) 、症状が治まるまでの2~3日の間を過ごしたようです。
極度の無気力感
気分の落ち込みが始まると、「何もしたくない」という強い無気力感に襲われ、そのため外出することができない状態になってしまい家に籠るほとんどの時間を、ベットの上で特に何もすることなく過ごすことが多かったようです。
涙が溢れる
双極性障害のうつ状態になると、どこからともなく大粒の涙が溢れたようです。
周りから見れば、その当時の妻の生活は、良い仕事、良い彼氏、良い友達に恵まれ、誰もが羨む人生を送っているように映っていたに違いないにも関わらず、極度の悲しさに襲われ涙が流れるということがあったようです。
意識の分離
妻は極度のうつ状態になると、現実における意識が薄らいできて、やがて意識が自分の中から「離脱する」という感覚を覚えたそうです。
意識が現実の自分自身の中には無く、まるで幽体離脱のように離れる…というものだったようです。
「恋人の代わり何てどこにでもいる」

うつ状態になると、家から2~3日もの間、家から一歩も出ることができず、また基本的には誰とも話ができないという状況にも関わらず、妻はその状態が嬉しいと感じていたようです。
その理由は、そのうつ状態の時間が「自分の感情と向き合える時間」であったためです。
ロンドンの人たちは一般的には、仕事、遊び、旅行等、アクティビティに忙しく、常にアクティブでポジティブであることが普通であり、悲しさなどの負の感情が否定されてしまいがちです。
妻はロンドンに来てから、ロンドンのその生活スタイルに合わせる必要があり、徐々に自分の感情と向き合うことができなくなり、負の感情を無理に押し殺して生きていました。
そのせいもあってか、やがて双極性障害が発症し、躁状態とうつ状態の気分の変化に悩まされていくようになります。
うつ状態になり涙を流すことは、彼女にとって唯一自分の負の感情、本当の気持ちを感じることができる瞬間であったようです。
妻がまだ、元カレのアイルランド人のエリート銀行マンと付き合っていた当時に、女友達と一緒にフランスへスキーへしに行った時のことです。
そのスキー場で出会った他のグループのうちの一人の男性が、「最近彼女にフラれてしまい立ち直れていない」、ということを妻を含めそこにいる人たちと話していました。
それに対して妻は、「落ち込む必要なんてないよ!だって恋人なんてみんな、替えがきくものじゃん。」と言ったそうです。
その話をした夜ホテルの自分の部屋に戻った後、妻は大きな悲しさに襲われたそうです。
なぜなら、その時付き合っていた彼氏は良い性格で彼女に対して優しく接し、付き合って一年ほどで一番楽しく過ごしている時であるにも関わらず、恋人は皆替えがきくものと自分は感じていると知ったためです。
そしてこの時が、自分の中の感情がどこかおかしい…と感じ始めた瞬間だったようです。
僕との出会いで双極性障害が無くなったが…

僕が妻の前で泣いてしまったり、センチメンタルな部分を見せることから、妻は僕と出会ってから徐々に自分の感情を表現することを、肯定できるようになっていきました。
そのせいもあってか、僕と出会ってからは、妻の双極性障害の症状は完全に見られなくなりました。
しかしながら、僕に対する感情が強いために、妻の中にある「愛した人が自分からいなくなるのではないか?」といういわゆる見捨てられ不安が拡大していきました。
そしてその結果、僕と出会ったことで、妻に潜在的にあった境界性人格障害の要素が、徐々に形を成されていくようになってしまいました。
妻の境界性人格障害については、また次の機会にお話ししたいと思います。
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